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【過失割合】歩行者と直進車との事故で、歩行者は赤信号で横断を開始し、車は黄信号で進入してきた場合

ここでは、具体的な場面を挙げて、事故態様別に過失相殺率についてご説明いたします。

歩行者と直進車との事故で、歩行者は赤信号で横断を開始し、車は黄信号で進入してきた場合

具体的には、対面信号が赤であるにもかかわらず、交差道路の信号が黄信号に変わったことから、歩行者がもはや車両等は来ないと軽信して見込み横断をした場合が想定されます。

 車は、黄信号の場合には、原則として所定の停止位置を超えて進行してはならないので(令2条1項)、黄信号であるにもかかわらず、横断歩道又は交差点を通過しようとして、歩行者に衝突した車の責任は否定できません。もっとも、赤信号時に見込み横断をする歩行者としては、大型車に継続していて信号変わりに気づくことが遅れた場合や路面が濡れていたり、凍結したりしていて急に止まれない場合等、黄信号であっても横断歩道又は交差点を通過することがあることを予測すべきであるといえます。

そこで、歩行者は赤信号で横断を開始し、車は黄信号で進入してきた場合は、歩行者の過失割合は基本的には50%です。 

夜間の場合には、過失割合が5%増加して、過失割合は55%となります。夜間とは、日没から日出時までの時間をいいます。また、夜間以外の時間であっても、トンネルの中、濃霧がかかっている場所その他の場所で、視界が高速道路においては200m、その他の道路においては50m以下であるような暗い場所は、夜間と同様とされています。 

幹線道路の場合には、過失割合が5%増加して、過失割合は55%となります。幹線道路とは、歩車道の区別があって、車道幅員がおおむね14m以上(片側2車線以上)で、車両が高速で走行し、通行量の多い国道や一部の道路の都道府県道のことです。 

 直立直前横断・佇立・後退の場合には、過失割合が5%増加して、過失割合は55%となります。直立直前横断とは、車両等の直前・直後で道路を横断することです。佇立とは、特段の事情なく立ち止まることです。

 住宅街・商店街等の場合には、過失割合が10%減少して、過失割合は40%となります。住宅街・商店街等は、人の横断・通行が激しいか、又は頻繁に予測される場所のことです。 

歩行者が児童・高齢者の場合には、過失割合が10%減少して、過失割合は40%となります。なお、児童とは、6歳以上13歳未満の者のことです。高齢者とは、おおむね65歳以上の者のことです。 

歩行者が幼児・身体障害者等の場合には、過失割合が20%減少して、過失割合は30%となります。なお、幼児とは、6歳未満の者のことです。身体障害者等とは、①身体障害者用の車いすを通行させている者、②つえを携え、又は盲導犬を連れている目が見えない者、③つえを携えている耳が聞こえない者、④道路の通行に著しい支障がある程度の肢体不自由、視覚障害、聴覚障害又は平衡機能障害のある者でつえを携えている者のことです。 

集団横断があった場合は、過失割合が10%減少して、過失割合は40%となります。集団横断とは、歩行者が集団で横断・通行することです。数人が外形的に見て同様の行動をしていれば足り、全員が互いに意思を通じ合わせていることは必要ではないとされています。 

車に著しい過失があった場合には、過失割合が10%減少して、過失割合は40%となります。著しい過失とは、事故態様ごとに通常想定されている程度を超えるような過失のことです。著しい過失の例としては、脇見運転等著しい前方不注意、著しいハンドル・ブレーキ操作不適切、携帯電話等の無線通話装置を通話のために利用したり、画像を注視したりしながら運転すること、おおむね時速15km以上30km未満の速度違反(高速道路を除く)、酒気帯び運転等があります。 

車に重過失があった場合には、過失割合が20%減少して、過失割合は30%となります。重過失とは、著しい過失よりもさらに重い、故意に比肩する重大な過失のことです。例えば、酒酔い運転、居眠り運転、無免許運転、おおむね時速30km以上の速度違反(高速道路を除く)、過労、病気及び薬物の影響その他の理由により、正常な運転ができないおそれがある場合等です。 

歩車道の区別なしの場合は、過失割合が10%減少して、過失割合は40%となります。歩車道の区別なしとは、歩車道の区別のある道路以外の道路のことです。歩車道の区別のある道路とは、歩道又は歩行者の通行に十分な幅員を有する路側帯と車道との区別のある道路のことです。十分な幅員を有する路側帯とは、歩行者のすれ違いが可能と考えられるおおむね1m以上の幅員のある路側帯のことです。

上記は、過失相殺の一場面にすぎません。また、上記でご説明した過失相殺率は、事故類型ごとに想定した事故態様に応じた一応の目安であるので、紛争の解決にあたっては、事案の個別・具体的な内容に応じて、妥当な過失相殺率を求めるべきです。

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